IN THE BEGINNING

昨春、コロナ禍が拡大すると同時に体調に異変を来した母は入院し、コロナが終息する前に帰らぬ人となってしまった。

入院した当初、見舞いは制限されてほとんど出来なかったが、病が進行し、夏にホスピスに移ることになってからは毎日通った。母のいる場所は横須賀の先にあったので、母に会う前に海にSUPで出て自然のリズムを身体で感じ取ることが日課となっていた。

結局母は長いことはなかったが、数ヶ月は母のそばにいつもいて、病室ではギターを弾いて母の好きだった歌を歌った。

多くの人がそうであったように、コロナは状況を一変させた。母の体調はそれと直接関係していたわけではないが、まるでリンクしているかのようだった。予定していた多くの仕事、イベントはなくなった。レギュラーな仕事はコロナ前に決まっていたラジオの仕事だけだった。ラジオの仕事は経済的な支えには遠かったが、ライフワークとしての支えにはなった。

配信、オンライン、リモート、そんな言葉が飛びかい、DJする機会はほぼ失われた。ギターを弾いて歌を歌い、部屋の整理を始めて大量にあるレコードを聴く機会が増えた。

レコードや本は何年かおきに処分することはあるのだが、子供の頃からのものも含め、好きになったものは捨てられずに取っていた。

ウルトラマン、赤塚不二夫、SF、007、映画、ミステリ、ロックンロール、パンク、ニューウェーブ、ヒップホップ、ダンスミュージック、精神世界、哲学、美術、現代音楽、電子音楽。

母がなくなったのが85歳。自分は今年還暦だ。

単純に試算して25年。25年前なんて1996年。ついこの間だ。時間は恐ろしい。僕のうちには25年の倍の歳月(もしくは以上)場所を変えて棲息してきた本やレコードがある。

冊数や枚数などまともに数えたことないが、古本屋や中古レコード店並にあることだけは確かだ。

僕と共同で配信を用いて新たな仕事を始めようと話し合っていた坂本蘭は、地下アイドルを生業にしていたがおおくのアーティスト同様、生活がコロナ禍で一変した一人である。

彼女と話しながら僕の蔵書、レコードを解放することを思いついた。

インターネット用語のMEMEが脳裏をよぎった。

いつかみた初期ヒップホップシーンのドキュメンタリーの一言で誰の発言だったか忘れたが、「ブレイクDJは数小節のためだけにレコードを買う」って発言が大好きだった。

このことは僕にとっては書物にも当てはまる。数行の為にも買ってしまうのだ。

当然たまる。

ブレイクネタ音楽ネタを解放すると同時に高木完を形成してきた本、雑誌も共に解放することにした。

MEMES。

ミームスは1日にしてならず。

一人でもならず。

女王様でありながらもともと洋服のデザインをしていたと言う坂本蘭の視覚センスにはちょっとピンとくるものがあって、それは彼女がプロデュースを務めた際のフェッティーズのCDを見せてもらった際のスタイリングと写真の写り具合に1977年の平凡パンチ取材時のピストルズを彷彿させられるものがあったからなのだが、実際聞いたところその写真かどうかはともかくピストルズは意識した、と言うことだったのでピンときた上に信頼の一言がペーストされた。実際写真を取り込んでPC上ではめ込んでいく彼女のセンスとカラーリングはPOPだった。一度見たものは忘れない坂本蘭のカメラ万年筆センスってやつだ。

MEMESは高木完の50年間を培ってきたものを坂本蘭のPOPセンスで解き放つプロジェクト。

本もレコードも独自の嗅覚で所有してきたもので価格は相場を参考にしてはいるが、自分が大事にしてきたものばかりなので、そこはそれ、保存はSF『三体』なみだと思っていただきたい。

状態の良くないものは安くはしてはいるが、重要なネタ感のあるものはそれなりのミームプライスをつけた。メルカリやヤフオクを選ばなかったのは僕の感覚が好きで僕のところに来てくれる人を大事にしたかったからだ要チェッカーズ諸君!

根底にはジャックスをやめた時の早川義夫さんもイメージしているが、ムフフのフ。

2021年宇宙の旅。ミーム解放ここに宣言。


2021年2月5日


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子供の頃、007が大好きだった。リバイバルでハマってからショーンコネリー作品は名画座で一通り観たし、ロジャームーアになってからはロードショーで見ていた。原作もサントラも必須。パンクの頃も見に行ってた。しかし、だ。ヒップホップにハマってBURNハリウッドBURNの時代になって、積極的にみる姿勢が薄れていく。それはウルトラマンやセブンが倒していた敵に対して疑問を抱くことと同じであった。東西冷戦の産物で

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